ホームページ・ビルダーに対する不当な評価
私は、ホームページ・ビルダーを10年ぐらい(つまり、出た当初から)使っているのですが、未だにホームページ・ビルダーが不当に低く評価されていると思います。特にWebアプリケーション開発の現場で。
そこで、不当に低く評価する彼らの言い分に反論してみたいと思います。
ホームページ・ビルダーは変なタグを入れる
入れません。独自タグはもちろん、独自属性も入れません。ビルトインの JavaScript を使ってどうこうするとかでない限り、勝手にコメントすら入れることもありません。
PageMill とかと混同してませんか? それにしても PageMill はひどかったな。と言っても10年ぐらい前の記憶だけど。
ホームページ・ビルダーは HTML を崩す
崩しません。といいたいところですが、崩すこともあります。それは、ホームページ・ビルダーの「自動修正」機能が働くからです。しかしこの自動修正機能が働く条件はただ一つ。「読み込んだ HTML が文法的におかしい場合」です。文法的におかしくなければたとえ上手く WYSIWYG 画面に反映できないとしても HTML を書き換えてしまうことはありません。
ホームページ・ビルダーの吐く HTML はブラウザの互換性が低い
それなりに複雑な構造であればそうであるとも言えますが、そんなに言うほど低いですかね。そもそもホームページ・ビルダーの操作って、タグやCSSに1対1に対応している傾向にあると思うのですよ。たとえば、ブロック要素の中間揃えをさせたとき、IE用に
text-align: center;
を出して、Firefox用に
margin-left: auto; margin-right: auto;
と二つの記述を出力を出したりなんてしない。ただそれだけ。そもそもブラウザ間に互換性がないということは、WYSIWYG 画面はどれかのブラウザに「寄った」仕様にならざるをえないわけです。なので、ホームページ・ビルダーだけが悪いわけじゃないはず。
それから Dreamweaver 使いながら結局タグを手打ちしている人から、互換性が低いだのと言われたくないですね。だったら、ホームページ・ビルダーで手打ちしちゃうぞ、と。
と、こんなところなのですが、ホームページ・ビルダーへの不当評価はだいたい2つの種類に分かれていると感じます。ひとつは、HTTP の仕様もあやふやな似非 Web デベロッパによる安い→素人向け→低機能という三段活用からくる色眼鏡が原因と思われる都市伝説の盲信。素人はお前だっちゅーの。こういう人は、具体的にホームページ・ビルダーの何が悪いのかを言えないことがほとんどですね。そんで、どうどうと「GENERATOR」を HTML 内に入れると(笑)。そして、もうひとつはバッドノウハウが使えないことに憤慨する派。たしかにときとしてホームページ・ビルダーはお行儀が良すぎる。IE6を標準モードで動かしたいから XHTML に XML 宣言入れたくないんだよなぁと思っても「ぼっちゃん、ダメでございますよ。規則でございますから」と黒服の執事が怒るように許してもらえないし。これに関しては私もどうかとは思うけど、別に良いか悪いかでいったら「好みの問題」なんじゃないかと。
ということで、特に前者の方。食わず嫌いはやめて使ってみてくださいよ、ホームページ・ビルダー。悪くないですよ。
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2008/9/6 追記
記事の趣旨を取り違えていらっしゃる方もおいでのようですので追記させてもらいます。
この記事の趣旨はあくまで「不当な評価」に対しての反論であって、ホームページ・ビルダーを持ち上げるものではありません。不当な評価というのはつまり、できることをできないと評価したり、しないことをすると評価するということです。なので、「バグが多い」というのは正当な評価です。事実ですから。
それに Dreamweaver は PHP や JSP にも対応していますが、ホームページ・ビルダーは対応していません。その他ホームページ・ビルダーが持っていない機能やいかがかと思うような仕様は確かにたくさんあります。そういった事実を挙げて「やっぱりホームページ・ビルダーは使えない」というのはそれはそれでいいと思います。なので元記事の最後に良いか悪いかでいったら「好みの問題」と書いたのです。
私はホームページ・ビルダーと対比する製品として Dreamweaver しか知らないので Dreamweaver を挙げていますが、別に Dreamweaver vs ホームページ・ビルダーをやりたいわけでもありません。このへんは私の書き方もまずかったかなとも思いますが、記事書きに関しては素人なのでそのへんはご容赦ください。
ちなみにかく言う私は、大枠はホームページ・ビルダーで作って、細部の調整を WYSIWYG でしたい場合は Dreamweaver を使っています。一番多いの手打ちですが。
2008/10/1 追記
さらに追記。私の文章力がよっぽどないのか、記事の真意がさっぱり伝わっていない人がおいでのようなので。
まず、ホームページ・ビルダーを使ってみて「ダメだ」となったらそれで良いです。ですが、できるだけ最近のバージョンで、できるだけさまざまな機能を試してみて判断して欲しいです。とは言うもののほかに慣れたツール(たとえば Dreamweaver)がある人にそれをやれというつもりはありません。でも、それをやっていないなら、むげに「ダメ」なんて言わないでください。
元記事が想定する状況はたとえば以下のような状況です。
Webベースの業務ソフトを作成する比較的大規模なプロジェクトで、たくさんのWebページ(いわゆるMVC構造のView部)を量産しなければならなくなりました。Ajaxは使わず、極単純なつくりです。
使用しているフレームワークは、View部にはJSPではなくHTMLが使えますが、独自色の強いフレームワークなので、最終的にタグに独自の属性を付与しなければならないので、タグの手打ちはある程度覚悟の上です。
この工程にアサインされる人員は、いずれのWebオーサリングツールにもまったく慣れていません。さすがに手打ちだけでは、能率が上がらないだろうから、何かオーサリングツールを導入しようかという話になりました。導入本数は数十本という単位です。プロジェクト全体の受注額からみたら、それにかかる費用なんて屁みたいなものですが、開発機材の予算にももちろん限りがあるので、それなりに考えて導入しなければなりません。
そこでホームページ・ビルダーはどうか、という話になりました。すると「あれは、独自タグを入れるから、使えないよ」とか「HTMLを崩すから使えないよ」と言う人がいました。「じゃあ、Dreamweaver?」というと「高いよね」ということで会議は踊ります。そうこうしているうちに結局、手打ちオンリーになりました。
最終的に出来上がったHTMLは、IE6ではかろうじて見れるものの(そりゃあ、見れるまでタグを弄り回したんだから当然だが)、タグの閉じ忘れ、Typo、CSSの文法ミスによる意味のないスタイル指定などが山のように入っていました。
この悲劇の元凶は、ホームページ・ビルダーに対して「必要十分であるか」という検証もDreamweaverに対して「費用対効果が見込めるか」という検証も行わなかったことです。なので「食わず嫌いはやめて」と元記事では締めくくったわけです。